今回の方法は本当にレイヤー3枚で完結します。
上から順に
1グラデーションマップレイヤー
2カラーレイヤー(オ―バーレイ)
3グレースケールレイヤー
この三枚です。
順に見ていきましょう。
レイヤー構造
1グラデーションマップレイヤー
グラデーションマップは
グレーの度合いに応じて自動的に色を割り当ててくれるレイヤーになります。
色はセピアのグラデーションマップをカスタマイズした
青からオレンジ色のもの。
レイヤーモードは「オーバーレイ」で不透明度15~20%
2カラーレイヤー
描きたいものの固有色で
ベタ塗りしておけば大丈夫です。
レイヤーモードは「オーバーレイ」
3グレースケール
RGB値がR128G128B128のグレー。
描き込みは基本的にこのレイヤーに行い
他のレイヤーには描き込みません。
モードは通常。
以上!これだけ簡単!
レイヤー3枚で済む理由
なぜレイヤー3枚で済むのか。
まずオーバーレイの計算式は
明度が半分より明るいとスクリーンの計算式を適用、
明度が半分より暗いと時乗算と同じ計算式を適用する性質かあります。
では明度が半分の時はオーバーレイはどのような挙動を示すでしょうか?
答えは『変化なし』です。
ここで
「SUGEEEEEEEEEEEEEEE!!!」となるか
「?」となるかですが
SUGEEEEの方はもう描き始めて大丈夫です。
「?」の方は
この「変化なし」がどういう意味を持つかについて解説していきましょう。
色と言うのは三つの構成要素があります。
- 明度
- 彩度
- 色相
この三つです。
従来のグリザイユ画法の考え方だと
- 明度🔒
- 彩度
- 色相
イメージとしてはこんな感じで
明度(グレースケール)を先に描いて固定してしまえば
後は色相と彩度決めれば良いだけだね!
と言うアナログの形式を無理やりデジタルにねじ込んだものになっています。
がしかし、残念なことに
オーバーレイもスクリーンも乗算も
使用すると明暗に影響があるので
結局何一つとして制御できておらず
効果レイヤーの挙動を熟知していないと
何をどうしたらいいのか分からなくなって
グレースケールは完成したけど色が全然思い通りにならない!!!
と言うことになります。
そして今回紹介している方法
固有色がオーバーレイ状態でかつ「変化なし」
というのはつまり、
- 明度
- 彩度🔒
- 色相🔒
こういうイメージです。
色相と彩度が固定されているので、
後は明度決めれば良いだけだよね!
つまり本当にグレースケールで描くだけで厚塗りみたいな画面になると言う描き方になります。
「結果」が見えているので
これ以上の明るいグレーだと白飛びする、
逆に暗いグレーだと黒く潰れる。
と言うのは感覚的に分かるのでその心配も無くなります。
そしてグラデーションマップにも重大な役割があります。
グリザイユ画法最大のネックは色相の変化の無さです。
階調が明度依存のため色相が固定され、
ベースカラーを上下方向に動かした様な、
まるで影色に黒を、明るい所に白を混ぜると言う初心者感丸出しの色になってしまします。
そこにこのグラデーションマップは効いて来ます。
明るい領域にはオレンジの色が徐々に混ざり、
暗い領域には青が徐々に混ざる様になっています。
つまり色相の変化が追加され鮮やかになります。
しかもその基準はグレースケール依存なので一枚挟んでおくだけで
これと言った設定も無くグレースケールを描き進めていくうちに良い感じになります。
そして最後にR128G128B128のグレーのベタ塗りレイヤーについてです。
この地味でパッとしないグレーは
オーバーレイをほぼ無効化出来る色です。
この色があるからこそこの方法が成立します。
描くに当たってはスポイトツールを
「レイヤーから色を取得」にしてグレーを重ねていきましょう。
この方法のメリットとデメリット
メリット
- 結果を見ながら描き進められる。
- 黒く潰れたり、白く飛んだりしない。
- アニメ塗りが出来ればこの塗り方もすぐに出来るようになる。
- 勝手に色相にムラが出来るのでグリザイユ画法独特のくすみが打ち消せる。
デメリット
- 最初に色の設計が必要なので最初から完成形が見えていないとクオリティーが上がらない
使いどころ
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はグリザイユ画法をデジタルに落とし込むための再構築に努めました。もちろんグレースケールから描き起こす方法も「慣れれば」強力な武器になりますが、ではどうやって慣れるのか。その問いに対する一つの答えとなればと思います。